異端と言えるかどうかわかりませんが、どうしたらジュエリーデザイナーになれますか?
と聞かれることがあります。

ジュエリーの専門学校とか美大に通う、ジュエリーコーディネーターの資格を取得するなどはいっさい必要なく、ただ素直に吸収できる心とマメさがあれば、モノ作りはできるのではないかと思っています。

プロと趣味の違いは、極めるかどうかで、あまり差はありません。
最後のさいごのツメをするか放っておけるかの許せるラインのようなものが違う紙一重だと思います。仕事に向き合う姿勢が誠実で、妥協を許さない仕事ならプロフェッショナルな仕事だと言えると思います。

誰かに作り方を教わろうが自己流であろうが、ジュエリーデザイナーは誰でもなれますし、クラフトマンはとくに異業種からの参入が多い、ジュエリーのクラフトマンは元美容師さんもすごく多いです。写真家も今はプロもアマもなくなっています。
もともと手先の器用さには自信がある職種からどんどんのめりこむ、おもしろく感じるというところがきっかけのようです。
ただ自己表現のために作るアートとは違い、用途がはっきりあるところで、経済的にも職人が自立し易いという点が芸術家とクラフトマンの違いではないでしょうか。

有名な若手陶芸家はアクセサリーから陶芸の方へ傾倒していったということです。
ジュエリー、アクセサリー、クラフトといってもいろいろです。
要するに量産されているものの対極にある少量生産で、人の手が創りだし、なおかつその作品が生まれる風土と結びついていることも欠かせません。
環境を反映したり、造り手のポリシーが大きく入り込んだものをハンドメイドクラフトと呼ぶのだと思います。
単に会社だとか個人的レベルの違いという意味ではないのだと。

私の場合は環境から要請されて徐々にチタンに傾倒してきた面もあります。
チタンという素材がまだ未知のものだった15年前に、チタンのメリットを研究していた歯科技工士さんの論文との出会いも大きく左右したと思います。
チタンの臨床実験は歯科の分野では早くから取り組まれていました。ジュエリーはそれにはるかに遅れて金属アレルギーに対応できるような需要に後押しされてきた、そういう時代背景があり、今日に至っています。

デザインって何だろう